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2005-4 第5回
「転倒に注意」

桜も咲きはじめ、春本番=花粉症全盛です。昨年は楽だったので、もう花粉症は治ったのかも!と淡い期待をしましたが、見事に打ちのめされました。日曜のソフトボールもマスクをしながら。ツライなぁ…
介護保険の審査委員となって約4年がたちます。この審査会、およそ月に2回のペースで開かれます。どんな事が審査会で行なわれるのか、このような場で書いて良い事なのかわからないので詳しくは書きませんが、簡単に言うなら『パソコンではじき出された介護度が、妥当かどうかを判定・必要であれば変更する』会議です。
審査会にはいくつかの資料が提供され、その中のひとつに『主治医意見書』なるものがあります。ある様式に則られ記入がされていますが、最後に『特記すべき事項』欄があり、その患者さんにおいて何か特別な事があれば、コメント的に記載されます。そこでよく目にするのが『転倒に注意』の一文。だれしも日頃から注意している事でしょうが、わざわざお医者さんの書いた意見書にこれを見ると、重大な事なのだなぁとあらためて思わされます。実際、高齢者の方々にとっては転倒→けが・骨折→介護度の上昇、と一瞬の『転倒』がその後の生活を左右してしまう事は珍しくない様です。
わが医院にも、転んで歯をぶつけた云々で来院される患者さんがいます。状況は様々ですが、大きく分けて3通り
『歯が折れた』
『折れてはないがグラグラになった』
『歯が抜けちゃった』
折れてしまったケース、一部修復で済んでしまうものから、最悪抜歯となるものまであります。折れた部分とそこが修復可能かがキーとなります。
グラグラのケース、程度にもよりますがその歯を安静に、なるべく使わない様にしておけば、歯周病の歯でなければたいていは元の状態に回復してくれます。必要であれば他の丈夫な歯と固定し保護、回復を待つ事もあります。
最も衝撃的な『抜けてしまった…』ケース、まずは諦めない事です。抜け落ちた歯をなるべく良好な状態で保管し、早く歯医者さんに診てもらいましょう。よほどの状況でない限り、元の位置に復元・固定し、再びしっかり植わる様処置をしてくださるハズです。
抜け落ちた歯の保存ですが、『保存液』なるモノも売られている様ですが、そのまま口の中に入れておくだけでもいいですし、かろうじて歯茎に着いていて、元の位置に戻す事が可能ならしておかれればなお良いでしょう。 なにしろ『乾燥させずに保存・諦めない』事です。
事故はいつも突然。いざという時にも『歯ナシ』にならないためのハナシとしてお役に立ったでしょうか?


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