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2005-7 第12回
「進化」

行ってきました、行ってきました、秩父ニジマス釣りへ。
今回は下の息子も進化…間違い、進学し中学生になり、夏休みの学校行事と重なったため、私一人での参加。そのぶん釣りへ集中でき、持ち物も釣り道具とビール数本と、かなりコンパクトに。いや〜うまかった、ニジマス塩焼き。古代の人もこうやって食べたのかな?うん、サカナ食べるなら犬歯は要らないな、と考えつつ、頭と尾以外の骨までペロリ。サカナのカルシウムを丸ごと頂けました。古代生活も悪くはないかな?いや、ビールはやはり現代の方がウマイや(笑)

現代のヒトの細胞は一万年前と同じ、と前回書きました。細胞レベルでは同じでも、体格はだいぶ異なっているでしょう。たった数百年前の江戸時代以前の鎧・兜を見て、昔の大人の小ささを感じた事を思い出します。私がこの仕事に就いてから20年弱、この間でも感じるお口の中の変化があります。

一番感じるのは、歯の先天欠損(生まれつき歯が足らない)が増えた事でしょうか。最近は『またかぁ』くらいにしか印象をうけなくなりました。

『歯が足らない』特に永久歯のケースを患者さんに説明すると、ほとんどの方は驚き不安を抱きます。しかし乳歯が『定年延長』(と私は表現しています)し、30.40才台まで機能してくれていたり、知らないまま歯列がかえってキレイに完成している事もあったりで、大きなハンデとなってはいない様です。これらもひとつの身体の『進化』と考えています。足らない・のではなく『必要ない』と身体が判断し、発生しなくなった。通称『親不知・おやしらず』とよばれる歯などがそのよい例かと。正式名称は『第3大臼歯・だいさん だいきゅうし』、やっかいもの扱いされていますが、れっきとした奥歯のひとつです。あっても当然なのです。近年の噛む事をあまり必要としない食生活に、アゴの大きさも変化・小さくなり、十分並びきるスペースがなくなってしまい、出てきても斜めだったり埋まってしまったり。実際、親不知以外の歯だけですら並びきらずに、矯正のため抜歯されるケースも増えています。

数百年後、いや数十年後には『第2親不知』なんかと呼ばれる歯ができているかもしれませんね。


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