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2005-8 第14回
「ゴール」

夏休みもあとわずか。今年も高校野球をはじめ、夏には様々なイベントで盛り上がりました。
が、祭りの後の……ちょっぴり寂しい時期です。

今年は世界陸上も開催されました。
どの競技・どの選手も驚異・素晴らしいですが、やはり陸上の花はマラソン。
40q以上の距離をあのスピードで走り続けられる持久力は、順位にかかわらず参加全選手を讃えずにはいられません。
100bを十数秒で2時間以上走り続ける。
肉体的トレーニングにプラス・精神力も必要でしょう。あの気力はどこから湧いてくるのでしょう?

私が思うに、それは『ゴール』があるからだと考えます。
どんなに辛くとも目指すゴールが必ず決まった位置にある。
もしゴールが知らされていないレースがあったらどうでしょう?
100b先かも…いや40q先かも…いやもっと先かも…受験勉強もそうでしょう。
目標とする学校・目指す入試があるからこそ勉強に打ち込める。

私は歯の治療においても似た考えを持っています。
各々の患者さんにとっての『治療のゴール』を考えながら治療を進め(勧め)ます。
一般的には『ムシ歯がなくなり、抜けた部分にも歯が入り、機能が回復』された時点が治療のゴールでしょうが、治療が苦手な子供さんや治療せず放置したムシ歯やらが多数・いわゆる『ボロボロ』状態の患者さんにとって、いきなり『はい、では頑張ってぜ〜んぶ治しましょう』では、トレーニングしていない人にいきなりフルマラソンを、全受験生に東大を、と押しつける様なもの。
『見えないゴール』となってしまい、ヤル気も出ないでしょう。
どんな事でも、まずは手近な『ゴール』をつくり、ゴールインしてみる。
達成感を味わい、次の『ゴール』をまた作る。

子供さんなら、まず治療椅子に座る、それだけでも『ゴール』になるケースだってあります。
序々に慣れてやっと削れるまでになったとしても『まず3つ数える間だけ』頑張らせる。
つまり『3秒でゴール』それが倍になり、ゆくゆくはどんな治療でも頑張れる様になる。
つまりどんな小さな『ゴール』でもきちんと『ゴールイン』させ、さらなる次への自信をつける。
大人でも治療はイヤなもの。ボロボロ・たくさんムシ歯があっても、今回の来院を決断したきっかけとなった、まずは『1本・1ヶ所』をしっかり治す事をゴールとしてみる。
その結果、これまでは『痛くなくなったら、それがゴール』とされていた患者さん自身のゴールが、より長距離にも耐えうる、そして究極のゴール『予防、早期治療』へ目覚めていただければ…と。

もうすぐ食欲の秋。私の体重増加のゴールが、また長距離になりそうです(笑)
WALKINGも再開せねば!


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